vol.43のおでん種 は「ゆば」。
さて、「めぐみ食堂」というおでん屋が舞台の小説『婚活食堂』の作者である山口恵以子さんは、めぐみ食堂のメニューからどの肴とお酒を合わせるのでしょうか。
今週のおでん種「ゆば」

豆乳を加熱し表面に生じる膜をすくい取ったもの。これを生ゆばといい、さらにこれを乾燥させたものを干しゆばという。おでん専門店には、生ゆばを扱うところや、干しゆばを扱うところが存在する。岐阜市には店内で引いたゆばにおでん汁をかけて提供する店がある。
おでん種「ゆば」に合う肴
<鶏レバーの赤ワイン煮>
材料(2人分)
- 鶏レバー・・・200g
- 生姜・・・1/2片
- サラダ油・・・大匙2
【A】 - 醬油・・・大匙2
- みりん・・・大匙1
- 赤ワイン・・・100ml
- ハチミツ・・・大匙2

作り方
- 鶏レバーの下処理をする。鶏レバーは洗って汚れを落とし、血管と筋を切り取り、15分ほど水に浸ける。途中で、血液で水が濁ったら新しい水に取り換える。
- 鶏レバーの水気を拭き取り、ひと口大に切る。
- 生姜の皮を剥き、千切りにする。
- フライパンにサラダ油を入れ、鶏レバーを入れて中火で5分ほど炒め、表面の色が変わったら生姜を加えてさっと炒めて、【A】を入れる。
- 更に中火で5分ほど炒め、水分が少なくなり、とろみが付いてきたら出来上がり。
ペアリング
「ゆば」
「鶏レバーの赤ワイン煮」には
『ど(白瀑)』純米活性にごり生酒・冷酒(山本合名)

【作家コメント】『ど(白瀑)』純米活性にごり生酒はプチプチと弾ける爽快なにごり酒で、味わいは極めてフレッシュで爽快。豚カツやクリームチーズなど、こってり系の肴とも相性が良い。

このおかずが掲載している箇所
『婚活食堂』第8巻

「鶏レバーの赤ワイン煮は初登場かしら?」
「はい。ちょっと目先の変わったものを出そうと思いまして。生姜をたっぷり入れて、甘味はハチミツを使ってるんです。
酒の肴にもご飯のおかずにもぴったりですよ」
播戸と由子は顔を見合わせて、共犯者のように微笑んで、同時に鶏レバーを口にした。
「本当だ。すごく合う。」
「全然臭みがありませんね」
「下処理しましたので」
きれいに水洗いしてから血管と筋を取り除き、十五分ほど水に浸ける。余分な血液が浸み出して、臭みやえぐみが消える。
婚活食堂と山口恵以子さんについて
『婚活食堂』
女将の恵が1人で切り盛りするおでん屋、東京・四谷の「めぐみ食堂」を舞台とした連作短編集。元・人気占い師の恵は、ある事情があって今は“見る力”を失っていたが、結婚のさまざまな悩みを抱える常連客と接するうちに、“男女の縁”が見えるようになって——。ときにほろ苦くも心あたたまるハートフルストーリー。2024年11月現在、PHP文芸文庫から12巻まで刊行中(シリーズ累計35万部)。
PHP研究所『婚活食堂』ページはこちら
※『食と酒シリーズ』(『婚活食堂』『食堂のおばちゃん』『ゆうれい居酒屋』)では100万部を超える
山口恵以子(やまぐち・えいこ)
脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞受賞。近著に『めしのせ食堂: こころとお腹を満たす物語と「ご飯のおとも」』『ライト・スタッフ』『バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ』 などがある。
料理:田村有希、奥津真実/撮影:岩下秀徳/書籍装丁:大岡喜直(next door design)/書籍装画:pon-marsh/協力:PHP研究所
