専用エレベーターに乗り、あべのハルカスの58階〜60階にある「ハルカス300(展望台)」へ。扉が開くと地上約300mの圧巻の眺望が眼前に広がり、夜ともなれば光を散りばめた大阪の夜景が輝きます。大阪の街を眼下に見下ろす屋外の吹き抜け空間「天空庭園(58階)」の窓際に並ぶのは、昭和レトロなこたつ。真冬の極寒の中、店貸し出しのどてらを羽織った人々がこたつを囲み、おでんを頬張る「かこむ de こたつ」は、秋冬の大人気イベントとして毎年開催されています。
- 展望台×こたつという、非日常の体験を提供
- 冬に“温もり”の要素を 人が集い、こたつを囲む日本の文化
- 昭和レトロな風情が、こたつ気分を盛り上げる
- ハルカスでしか味わえない体験を提供
- 大阪おでんならではの澄んだ出汁
- 空間も鍋も、いまこの時を楽しむ
- お店の基本情報
展望台×こたつという、非日常の体験を提供
高さ300mの超高層複合ビルとして2014年に開業したあべのハルカスは、地域住民と国内外の観光客らでにぎわう大阪・関西のランドマークのひとつです。その58階にある「天空庭園」は、大阪随一の眺望を誇る吹き抜けの開放的な空間ですが、屋外なため冬はとても寒い!
そんな極寒の空間で、おでんを中心とした鍋料理を食べるイベントが「かこむ de こたつ」。土日は予約しないと入れないほどの人気を集めています。
「2018年の開催以降、毎年多くのお客様に来店いただいています」と話すのは、「かこむ de こたつ」の企画を2023年から担当する近鉄不動産の山本晃大さん(※担当は取材時)。

冬に“温もり”の要素を 人が集い、こたつを囲む日本の文化
「眺望は素晴らしいのですが、上空は地上よりもさらに温度が下がるので冬は本当に寒くて。開業当初、夏はビアガーデンなどのイベントをやっていましたが、冬は空間を活かせていない、という課題がありました」
そこで生まれた企画が『展望台とこたつ』という、アンバランスにも思える組み合わせです。
「イベントを企画する上で“ハルカスでしかできないこと”が念頭にあり、眺望に何かを掛け合わせ、新たな価値を生み出したいと常に考えています。「かこむ de こたつ」は、冬に“温もり”の要素を加えたい、という想いから生まれた企画だったと聞いています。」と山本さん。
地上約300mの真冬の屋外で過ごすという非日常感、そしてこたつでぬくもりを感じる幸福感。人が集い、こたつを囲む日本独特の文化は、それを知らぬ若い世代はもちろん、外国人のお客様にも好評とのこと。


昭和レトロな風情が、こたつ気分を盛り上げる
来場者は好きな「どてら」を選んでそれを羽織り、こたつを囲むスタイル。近代的な空間に、あえて昭和レトロな風習やデザインをとり入れているのもユニークです。
「暖を取る方法がたくさんある中、こたつを選んだのは、自然と人が集まり、座敷でこたつを囲む日本独特の文化を出したかったから」と山本さん。
開催初年度はメディアにも多く取り上げられ、この企画を通じて「ハルカス300(展望台)」の認知度が一層高まったといいます。6度目の開催にあたる2023年度は過去最高の1万人をこえる来場者を数え、毎年順調に数をのばしています。
ロマンチックな風景をバックに、こたつとおでん鍋を囲む非日常的な写真をSNSにアップする人もたくさん。平日は会社帰りや宴会、土日はファミリーからカップル、お年寄りからお子さままでと幅広い客層に愛されています。


ハルカスでしか味わえない体験を提供
毎年、おでん鍋はマストですが、ほかの鍋料理のモデルチェンジは開催年度によって変化させています。過去には明太とろろ鍋や、カップル向けのペアおでんなど、鍋料理の内容を変えたり、提供方法を変えたりするなど、時代の世相に合わせてさまざまな挑戦を続けています。
「定番のおでんセットはすぐ提供できるオペレーションを徹底し、さっと手軽に楽しんでもらっています。しゃぶしゃぶはアルコール飲み放題に、お肉と野菜が食べ放題の2時間制でゆっくり過ごしていただくことを想定しています」
気軽なおでん、贅沢な時間を過ごしていただくしゃぶしゃぶコースと、過ごし方のスタイルも選べるようになっています。

2024~2025年は、一般席にも掘りごたつをご用意。それ以前は、プレミアムな半個室のみ掘りごたつがありましたが、座敷になれていない人でもゆるりと過ごせるよう、こたつもバージョンアップ。
「1時間、2時間いるとなると正座は厳しいですよね。インバウンドの方など、もっと幅広いお客さんにも利用していただきたい思いから、掘りごたつに踏み切りました」と山本さん。
このイベントの存在自体を知らず、普通にふらっと展望台に上がられた外国人客が、ここでこたつをみて「これは何!?」と驚くことも多いといいます。こたつは日本の独特の文化、興味津々な方も多く、インスピレーションで「体験したい!」と来場される人も少なくないといいます。そのため、席さえ空いていれば入っていただけるようにしているそう。
「外国からのお客様にも『こたつ』と『おでん』という日本の代表的な冬の文化を体験いただき、旅の思い出にしていただきたいです」と山本さん。
「おでんの種ものを変える、空間をより居心地よくリニューアルするなど、1回ご来場いただいてそれで終わりとならないよう、2回目の来場、3回目の来場と、リピーター作りにも力を入れています。一般的な飲食店や食品メーカーと違うのは、お客様を喜ばせるエンターテイメント性を念頭に置いていること。ハルカスでしか体験できない眺望をどう活かすか、お客様の笑顔と未来を常に模索し続けています」



大阪おでんならではの澄んだ出汁
おでんは、かつお・いわし・さば・むろあじの4種の節(ぶし)からとり、深みのある出汁に仕上げています。関西の出汁文化を彷彿とさせる美しく澄んだ黄金色の出汁は、シンプルでクセのない万人受けする味わいです。

時間をかけてじっくりと味をしみこませた大根や、別鍋でことこと煮込んだ牛すじ、大阪らしい大きな三角形の厚揚げなどの定番おでん種に加え、ソーセージなども用意。
「定番の具材を揃えながら、チーズとバジルの2種類のソーセージを用意する事でオリジナル感を出しています」と山本さん。この具材も、開催年によってマイナーチェンジし、“飽きさせない”工夫をしているそうです。
おでんを食べ終わった後のお楽しみは“うどん”です。おでんを食べ進めるうちに、すっきりと澄んだ出汁は、練りものや牛すじなどのおでん種から出た旨みによって味わいが凝縮。より旨みを増した鍋汁でうどんを煮るという趣向です。デザートは“みかん”というのも、こたつにぴったり。






空間も鍋も、いまこの時を楽しむ
「ファミリー層には掘りごたつ席、カップルにはプライベートな空間を楽しむことができるテーブルこたつ席が人気です」と山本さん。2024~2025年は、席の異なる3つのプランを用意しています。
「極だしおでんセット」と「極だししゃぶしゃぶセット」のプランは、足を伸ばしてゆったりと快適にお楽しみいただける掘りごたつ席、テーブルこたつ席でのご提供。
「贅沢プランしゃぶしゃぶ&おでん」は、基本の“極だし”に加え、3種類の中からお好きなだしをおひとつお選びいただき、計2種類のだしでお楽しみいただける特別なプラン。プライベートな半個室の掘りごたつ席でいただけ、ゆったり過ごすことができます。




かつお節、いわし節、さば節、むろあじ節

醤油

「ソーセージ」「牛すじ」「大根」「玉子」「ごぼう巻き」

「ソーセージ」「牛すじ」「三角厚揚げ」「ごぼう巻」「大根」
お店の基本情報
店名:SKY GARDEN 300
住所:〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 ハルカス300(展望台)58階「天空庭園」
TEL:06-4399-9181
WEBサイト:https://www.abenoharukas-300.jp
取材月:2024年11月