創造と伝統が織りなすおでんの新しいカタチ
オーナー渾身の創作メニューを楽しむ店



やさしい出汁の香りが鼻をくすぐる、おでん専門店「花串庵 スミダマチ店」。その店内に足を踏み入れると、竃(くど)に設置したおでんの大鍋と、店主こだわりの創作メニューのお品書きが出迎えてくれます。今日は何を食べようか、メニューに並ぶのは、普段、おでん専門店とは馴染みの薄い若者たちをも虜にする、オリジナル創作おでん。おでんという日本古来の伝統を受け継ぎながら、革新的な息吹を吹き込む唯一無二の銘店。今宵は花串庵が紡ぎ出す、おでんの新たな物語を堪能してみませんか?


花串庵でしか味わえない — オリジナル創作おでん


花串庵をはじめて訪れた人がかならず驚くのが、そのおでんメニューの豊富さです。年間約30万個が出る大ぶりの大根は、オーナーの魂が込められた絶品の味。煮込む、寝かせるを繰り返し、2~3日かけて熟成されます。

おでんに欠かせない練りものは、紀文ブランドのはんぺん、ちくわ、イカ天、ごぼう天、生姜天。どれもオーナーが老舗で修行していたときに使われていた食材です。他の練りものではこの味は出せない、全然違う、という感動から若者向けにリーズナブルな店舗を経営する現在も選び続けています。

玉子、厚揚げ、ロールキャベツなどの定番おでんだけでなく、仔羊やゆばなどの一風変わったおでん種が待っています。

オリジナルのおでん種は、おでん道を研究し尽くしてきたオーナーが、味と質にこだわり抜いて考案しています。時には味へのこだわりから、原価ギリギリの高級車エビがおでんになることも。店内で引くゆばは、おでん汁を小鍋にとりさっと温めて調理するなど、おでん種によって煮る時間、小鍋に取るおでん汁の濃度を変えているのが特長です。

人気の餅巾着は、ひっくり返した油揚げに岐阜県高山市で愛される餅店の昆布餅と、うずらの玉子を入れて仕込んだ「花串庵」でしか食べられない一品。しっかり味が染みこんだ油揚げと、昆布が香る餅が織りなすベストな相性に、思わず「もう1個!」とリクエストしたくなるはずです。

その他にも、飛騨牛のスネ、イベリコ豚、タンしゃぶ、おでんの出汁を使った〆に最適なラーメンなど、目移り必至の豊富なメニューが待っています。どんなおでんに出会えるのかはその日次第。そのラインナップは、数百種類にまで増え続けています。これまでに見たことのない変わり種おでんを開発し続ける「花串庵」での一杯なら、定番のおでん飲みでも、飽き知らずで通えます。


おでんの大鍋

竈に設置した大鍋/中央後ろの木製の柱近く:店内で作る引き上げゆばの調理台


ソウルフードに新風を — 斬新なアイデアはこうして生まれる


日本人のソウルフードであるおでんに、新しい風を吹き込む「花串庵」。他のおでん店や屋台では見かけないオリジナルメニューは、どのようなきっかけで生まれるのでしょうか?

「花串庵」では、35年以上おでんを作り続けているオーナーが、旬のもの、新しい食材を自ら味わい、創作おでんのアイデアやインスピレーションにつなげています。

旬の寒ぶりをしゃぶしゃぶにしたら、カマンベールチーズとおでんとの相性を試してみたい……そんな日常の発見やチャレンジ精神が生かされたメニューが多数取り揃えられています。

季節限定で食べられ、限定メニューも、常連さんから愛される一品です。冬のイメージが強いおでんを、暑い季節でも食欲をそそる素材、調理法を選んで夏向けに開発。現に「花串庵」では、12月の次に、8月がおでんの繁忙期です。常識の枠にとらわれない流行請負人が、夏のおでんブームをけん引しています。

おでんは温かいまま食べるもの、というこだわりで、冷やしおでんメニューは一切並びません。夏でもラーメンが人気であるように、真夏に大鍋で煮込まれた熱々のおでんを冷えたビールで流し込む、極上体験が待っています。

目当てのおでん種を決めておでんを食べに行くのではなく、今日しか食べられないおでんを楽しみに足を運ぶ、「花串庵」にはそんな常連さんが連日訪れ、ここにしかないおでん種の味わいに舌鼓を打っています。


人気の種ものベスト5

人気の種ものベスト5


おでんの味は出汁が決める — 「花串庵」が誇る究極の出汁


おでんの味の決め手であり、命とも言える出汁。「花串庵」では作り置きせず、毎日丁寧な出汁作りを続けています。その日の朝早くから営業時間がはじまっても作り続ける300リットル※もの出汁。おでんの出汁をはじめとするすべての料理を一から仕込むのも「花串庵」のこだわりです。

使用するのは、産地を厳選した昆布やかつお節など。愛情を込めてとられた出汁は、料理人や舌の肥えたお客も唸る、ここでしか味わえない究極の味です。この出汁へ、長年おでんと向き合ってきた、料理人のセンスを生かした味付けを経て、繊細な旨味が満ちたおでんが誕生します。

合わせるおでん種もただ珍しい食材、人気のある食材を選んでいる訳ではありません。「花串庵」の出汁に合う食材はなにか、出汁をベースに考案されたメニューだからこそ、素材の味が生かされます。

手抜きなしで日々続けられている出汁作り、旬や地元ならではの味を感じられる食材選びで、いつ訪れても変わらない味を実現。シンプルだからこそ飽きの来ないおでんの美味しさを、口いっぱいに感じられます。

「花串庵」を訪れる際は、ぜひ食材一つひとつに込められた物語に、思いを寄せてみてください。そして、こだわりとオリジナリティが詰まったおでんを、存分に堪能してください。

今日も店内では料理人の手によって、ていねいな出汁取りと旬の食材を使った仕込みが行われています。今も増え続けるメニューの数々で、毎回新しい出会いが待っている「花串庵」。岐阜県で誕生した、ソウルフードを超える新たなおでんを、ぜひその舌で味わってみてください。

※「スミダマチ店」「別館旭日昇天店」など花串横丁での合計


大根

おすすめベスト5:大根


練りもの

おすすめベスト5:練りもの


ゆば

おすすめベスト5:ゆば


仔羊

おすすめベスト5:仔羊


ラーメンのおでん

おすすめベスト5:ラーメンのおでん

出汁

出汁:昆布 かつお節

味付け

味付け:醤油

人気の種ものベスト5
人気の種ものベスト5:「大根」「餅巾着」「ちくわ」「ロールキャベツ」「厚揚げ」

おすすめの種もの
おすすめの種もの:「大根」「練りもの」「ゆば」「仔羊」「ラーメン」

花串庵スミダマチ店の外観は洗練された雰囲気でエントランスは開放的なつくりになっており、鍋から漂うおでんの香りが道行く人を惹きつけます。


エントランスは開放的なつくりになっており、鍋から漂うおでんの香りが道行く人を惹きつける。

「人の温かさを感じるくつろぎの空間」が店づくりのコンセプトです。客席はカウンター席の他に掘りごたつ式の個室を用意しています。


客席はカウンター席の他に掘りごたつ式の個室を用意している
「花串庵」6店を率いるオーナーの小野木浩司さん(左)とスミダマチ店の永田店長。

「花串庵」6店を率いるオーナーの小野木浩司さん(左)とスミダマチ店の永田店長。


お店の基本情報
店名 花串庵 スミダマチ店
住所 〒500-8843 岐阜県岐阜市住田町1-9-2
TEL 058-263-7739
Webサイト https://hanakushian.jp/blog/distinations/sumidamachi/
取材月 2020年2月