vol.30のおでん種 は「はんぺん」。
さて、「めぐみ食堂」というおでん屋が舞台の小説『婚活食堂』の作者である山口恵以子さんは、めぐみ食堂のメニューからどの肴とお酒を合わせるのでしょうか。
今週のおでん種「はんぺん」

魚のすり身にやまいもや卵白などを加えゆでて作る、ふわふわとしてソフトで軽い食感の関東名産の練りもの。形状は白くて平らな正方形のものが主流。はんぺんを入れるタイミングは調理の最後に汁をかけて温めるくらいが美味。
おでん種「はんぺん」に合う肴
<タケノコとアサリのバター炒め>
材料(4人分)
- 皮付きタケノコ・・・1本
- アサリ・・・20~30個
- 日本酒・オリーブオイル・バター・塩・胡椒・・・各適量

作り方
- タケノコの皮を剥いて縦半分に割り、鍋にたっぷりの水と糠ひとつかみを入れて30分ほど茹でる。
- タケノコが柔らかくなったら水洗いし、食べやすい大きさに切る。
- アサリは塩水に3時間ほど浸けて砂を出し、水洗いする。
- 鍋にオリーブ油とタケノコ、アサリを入れ、炒めながら酒を振り、最後にバターを入れ、塩と胡椒で味を調える。
- ニンニクのみじん切りを入れて風味を付けても美味しい。
- タケノコご飯を作る際、タケノコを1本多く茹でておいて使うと良い。
- 茹でタケノコでも構わないが、やっぱり朝掘りの皮付きタケノコは美味い。
ペアリング
「はんぺん」
「タケノコとアサリのバター炒め」には
『鯉川』純米吟醸・冷酒(鯉川酒造)

【作家コメント】『鯉川』純米吟醸は米の旨味がたっぷり詰まっているが、切れ味はシャープ。バターを使った料理に合う。作家藤沢周平が愛した酒だ。

このおかずが掲載している箇所
『婚活食堂』第1巻

恵はカツオの刺身を盛りつけながら言った。
「まだまだ腐っても医者よ。モテるもん」
「いや、それはどうですかね」
タケノコとあさりのバター炒めをつまんでいた晋平が言った。
婚活食堂と山口恵以子さんについて
『婚活食堂』
女将の恵が1人で切り盛りするおでん屋、東京・四谷の「めぐみ食堂」を舞台とした連作短編集。元・人気占い師の恵は、ある事情があって今は“見る力”を失っていたが、結婚のさまざまな悩みを抱える常連客と接するうちに、“男女の縁”が見えるようになって——。ときにほろ苦くも心あたたまるハートフルストーリー。2024年11月現在、PHP文芸文庫から12巻まで刊行中(シリーズ累計35万部)。
PHP研究所『婚活食堂』ページはこちら
※『食と酒シリーズ』(『婚活食堂』『食堂のおばちゃん』『ゆうれい居酒屋』)では100万部を超える
山口恵以子(やまぐち・えいこ)
脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞受賞。近著に『めしのせ食堂: こころとお腹を満たす物語と「ご飯のおとも」』『ライト・スタッフ』『バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ』 などがある。
料理:田村有希、奥津真実/撮影:岩下秀徳/書籍装丁:大岡喜直(next door design)/書籍装画:pon-marsh/協力:PHP研究所