婚活食堂の「板こんにゃく」に合う肴とお酒
vol.15のおでん種 は「板こんにゃく」。
さて、「めぐみ食堂」というおでん屋が舞台の小説『婚活食堂』の作者である山口恵以子さんは、めぐみ食堂のメニューからどの肴とお酒を合わせるのでしょうか。
今週のおでん種「板こんにゃく」
生のコンニャクイモから作る「生いもこんにゃく」と、一度原料のイモを粉に生成したものから作る「精粉こんにゃく」がある。「生いもこんにゃく」は灰色にできあがり、こんにゃく粉から作ると白くなる。現在は「精粉こんにゃく」が圧倒的に多く、黒色は海藻由来である。
おでん種 「板こんにゃく」に合う肴
<煮豚>
材料
- 豚バラブロック・・・鍋の大きさに応じて何本でも
- 日本酒・・・1合
- 醬油・砂糖・・・適量
- 八角・・・1~2片
作り方
- 鍋にたっぷりの水を入れ、豚バラブロックを入れて煮る。30分ほど煮たら水を換えて脂を除き、更に3時間ほど煮る。
- あら熱が取れたら煮汁ごと冷蔵庫で冷やす。十分に冷えると表面に真っ白く脂が凝固するので、それを全部取り除く。
- 再び豚肉と煮汁を鍋に入れて加熱し、日本酒と八角を加え、砂糖・醤油・塩で味を調え、味が染みるまで1時間ほど煮る。
- 山口家の正月料理でした。よく煮た豚肉は箸で千切れるほど柔らかく、丁寧に脂を取っているのでバラ肉の脂身もしつこくありません。時間はかかりますが手間はかからないので、一度お試し下さい。
ペアリング
「板こんにゃく」
「煮豚」には
『駒』・レモンサワー(柳田酒造)
【作家コメント】『駒』を炭酸で割ると天然のレモンサワーのよう。ハチミツ小匙一杯と輪切りのレモンを浮かべて、甘すぎない大人のレモンサワーに。
このおかずが掲載している箇所
『婚活食堂』第5巻
煮豚は豚バラ肉を箸で千切れるまで柔らかく煮込み、八角で香りを付けた中華風だ。途中で脂を取り除いているので、しつこさや胃にもたれる重みがない。
「煮豚って初メニュー?」
タラモサラダを割り箸ですくって杏奈が訊いた。
「ええ。これから寒くなるから、出してみようと思って」
婚活食堂と山口恵以子さんについて
『婚活食堂』
女将の恵が一人で切り盛りするおでん屋、東京・四谷の「めぐみ食堂」を舞台とした連作短編集。元・人気占い師の恵は、ある事情があって今は“見る力”を失っていたが、結婚のさまざまな悩みを抱える常連客と接するうちに、“男女の縁”が見えるようになって——。ときにほろ苦くも心あたたまるハートフルストーリー。2024年5月現在、PHP文芸文庫から11巻まで刊行中(シリーズ累計35万部)。
PHP研究所『婚活食堂』ページはこちら
※『食と酒シリーズ』(『婚活食堂』『食堂のおばちゃん』『ゆうれい居酒屋』)では100万部を超える。
山口恵以子(やまぐち・えいこ)
脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞受賞。近著に『めしのせ食堂: こころとお腹を満たす物語と「ご飯のおとも」』『ライト・スタッフ』『バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ』 などがある。
料理:田村有希、奥津真実/撮影:岩下秀徳/書籍装丁:大岡喜直(next door design)/書籍装画:pon-marsh/協力:PHP研究所