だしの食材といえば、かつお節や昆布が一般的ですが、それだけではありません。そして、だしをとった後のかつお節などは処分してしまう方も多いはず。
「だしも頬張るおでん企画」は、肉類・魚介類・野菜からだしをとって、“だしを食材ごと食べましょう”というもので、だしとなる食材、練りもの、野菜と他1品の計4品で主役のおかずに仕立てます。
さて、vol.6のだしの食材は、「マッシュルーム」。料理家・渡辺あきこさんによるフレンチ風おでんと、時代小説作家・畠山健二さんの江戸時代のきのこの驚きの話、そしてお得意の自己像の変容妄想の話も。
このおでんは、マッシュルームの上品なだしに、カニカマのうま味、玉ねぎの甘みの一体感がくせになるスープで煮たじゃがいもをいただく、ポトフ風の秋らしい一品です。このおでんスープは、最近の流行であるポルチーニ茸ソースをかけて食すおでんのソースのベースの代用としての使い方もおすすめです。
今月の頬張るだし:マッシュルーム
畠山健二 江戸期のマッシュルームの話(イラスト:ふくだのぞみ)
日本人にとってお馴染みのキノコといえば、椎茸と松茸だろう。おでんとしてはどうなのかなあ。椎茸は出汁が出すぎる気がするし、松茸は家計に悪影響を与えそうだ。
江戸時代は松茸よりも椎茸の方が高級食材だったそう。この時代は椎茸の養殖が行われておらず、松茸はそこら中に生えていたんだと。やはり需要と供給のバランスってやつか。
「香り松茸、味しめじ」ということわざがあるが。私はそもそも松茸の値段設定に疑問を感じている。高すぎますよ。エリンギを松茸だと頑なに信じて食べれば、松茸になりますから。
さて、今回の「だしおでん」に登場するキノコはマッシュルーム。カレーやシチューには欠かせないキノコだ。マッシュルームって出汁が出るのでしょうか。気になる。これはぜひとも食べてみたい。マッシュルームとくれば、BGMはビートルズでしょう。若い人にはわからないでしょうなあ。私がマッシュルームカットにしたら。お笑い芸人になるだけだけど……。

おでん種としてのマッシュルーム

マッシュルームはホワイト種、オフホワイト種、クリーム種、ブラウン種に大別されます。うま味のひとつであるグアニル酸は乾燥きのこ類に多く含まれていますが、生のマッシュルームからも優しい味のだしがとれ、煮込み料理やクリーム和えなどに利用されます。
今月の4つの材料
マッシュルーム、じゃがいも、カニかまにしたらば、タマネギ

マッシュルームだしのおでん

材料(2人分)
作り方
- マッシュルーム:8個
- カニカマにしたらば:2本
- タマネギ:60g
- じゃがいも(メークイン):2個(220g)
(A) - しょうゆ:小さじ1
- 塩:少々
- マッシュルームは土のついた石づきを切り落として洗い水気をふいてタテ半分に切る。タマネギは1センチ幅のくし形に切る。カニカマは食べやすく切る。
- ジャガイモは皮をむいてラップで包みやわらかくなるまで電子レンジで加熱する。(2個で電子レンジ600wで5分)。
- 鍋に水3カップ、マッシュルーム、タマネギ、ジャガイモを入れて中火で煮立てフタをして弱火で10分煮る。(A)で味をつけカニカマを入れて一煮立ちして火を止める。
マッシュルームのアレンジレシピ
<じゃがいものマッシュルームソースがけ>
おでん汁で煮たマッシュルーム4個、煮汁1/4カップをフードプロセッサでピュウレ状にし、生クリーム1/4カップ、塩、こしょう少々を加えて混ぜる。
おでんのジャガイモにかける。


プロフィール
レシピ担当:渡辺あきこ(わたなべあきこ)

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江戸の話担当:畠山健二(はたけやまけんじ)

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イラスト担当:ふくだのぞみ