〜和食料理人 野﨑洋光から学ぶ〜 紀文のおでん暦

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2月のおでん「粕おでん」

2月のおでん「粕おでん」

今月の「粕おでん」は、寒いこの季節に身体の芯まで温まるように、酒粕を加えました。ほんのりと苦みのある芹(せり)と、噛みごたえのある根菜類がたっぷり入ったおでんです。
家庭料理のよいところは、決まった料理をタイミングよく提供しなければいけないプロの料理とは違い、家族の好みに合わせたものを食べごろで出すことができる点でしょう。できたての料理をすぐに味わうことは、何よりのごちそうです。贅沢な食材を使わなくても、素朴で心温まる家庭料理は、それだけで最高のおもてなしといえるでしょう。

調理時間:20分 エネルギー/1人分:667kcal 塩分/1人分:6.2g

今月の旬の素材酒粕

酒粕をおでんや鍋ものに使うときは、板状のものより、練り状のものがおすすめです。やわらかく汁に溶けやすいため調理が手軽なうえ、風味も豊かです。
酒粕のおでんには、塩鮭のように身がしまって塩味のする、崩れにくい具材が向いています。

酒粕

材料(4人分)

(A)
 さつま揚(巾着)1パック
 揚ボール1パック
 紀文つみれ4個
 魚河岸あげ®プレーン1パック
塩鮭(切り身)4切れ
大根1/7本(5cm)
ごぼう1/2本
こんにゃく1枚
4個
せり1束
(B)
 水2000cc
 昆布15×15cm
 味噌160g
 練り酒粕500g

作り方

  • 1:大根は皮をむき、水から下ゆでし、幅1.5cmの拍子木切りにする。ごぼうはよく洗い、皮付きのまま4ツ割りにし、3等分にする。こんにゃくは下ゆでし、格子状に切り目を入れ、大根の大きさにそろえて切る。せりは色よくゆで、3等分にする。
  • 2:塩鮭は半分に切り、焼く。餅は軽く焼いておく。
  • 3:鍋に湯を沸かし、Aとごぼうを入れて霜降りをする。
  • 4:土鍋にBと大根、ごぼう、こんにゃく、塩鮭、Aを入れ、中火で煮る。ひと煮たちしたら、味噌と酒粕を溶かし入れ、味を整える。
  • 5:餅を入れて、仕あげにせりを散らす。
こんにゃくと大根を下ゆでする

こんにゃくと大根を下ゆでする(作り方1参照)。大根の美味しさを活かすため、火にかける前の水の状態から下ゆでしましょう。

※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。

野﨑洋光さん野﨑流和料理のこころ

〜家庭料理は、毎日食べても飽きることのない、最高のおもてなし料理〜
  • 壱、寒い時には、酒粕を。家庭料理は、出来たて作りたてを味わうもの

    寒い時には温かい料理が、暑い時には冷たい料理がご馳走に感じることがあります。旬の食材はもちろん、温度や味付けなどを変えながら、自分の身体が欲している物を食べましょう。決まった料理を決まったように出さなければならないプロの料理とは違い、家族オリジナルの逸品が味わえるとよいですね。

  • 弐、しんじょと、つみれ。違いは、食感にあり

    しんじょとは、魚に塩を加えてすり鉢ですり混ぜたもの。練り製品本来がもつ独特の粘りや弾力は、塩とすり鉢でよくすり混ぜる工程から生まれてくるものです。一方、つみれは、しんじょよりも少し魚の食感を残すようにしながら、すりつぶしています。家庭では、フードプロセッサーなどを利用して、しんじょやつみれを作ることもできますが、なめらかになりすぎてしまうことがあります。市販の練り製品を利用しながら弾力の違いをお楽しみください。

  • 参、噛む事は日本の文化。根菜類で噛む力をつける

    日本料理は食感を重んじ、「弾力」や「歯ごたえ」なども大切な要素の一つです。また、食べものをしっかりと咀嚼することは、消化を助けることにつながります。このように、日本人は昔から噛む文化を大事にしています。
    今回のおでんは、酒粕を加えたとろりとした汁に、練り製品や大根とごぼうの噛みごたえのある根菜類を入れて、食感の組み合わせを楽しめるようにしました。
    冬場はとくに根菜類がおいしくなる季節です。おでんにもたっぷりと入れて、食感の美味を味わいながら噛む力を養いましょう。