〜和食料理人 野﨑洋光から学ぶ〜 紀文のおでん暦

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3月のおでん「華おでん」

3月のおでん「華おでん」

今月は、早春の息吹が感じられる「華おでん」です。春野菜は、鮮度が命です。独特のほろ苦さも、春の薫りの一つ。みずみずしい春野菜を、練り製品と一緒にたっぷりといただきましょう。春野菜は軽く下ゆでをすることで、えぐみなどの雑味を取り除くことができます。おでんは、最小限の調味料を使うことで、素材がもつ美味しさを引き出す事ができる料理です。「こうしなければならない」という決まりごとのない料理だからこそ、季節の素材を自由に組み合わせましょう。

調理時間:20分 エネルギー/1人分:368kcal 塩分/1人分:5.1g

今月の旬の素材うど、ふき

しゃきしゃきとした独特の歯ごたえと香りが特長のうどは、茎が白く太いもので、さらにまっすぐに伸びているものを選びましょう。酢水につけてさらすことで、アクが抜け、より白く仕あげることができます。
ほろ苦さと独特の香りが特長のふきは、古くなると山菜特有の苦みやえぐみが強くなるため、なるべく早く食べきりましょう。

うど、ふき

※手前が『うど』、奥が『ふき』

材料(4人分)

はんぺん(大判)1パック
焼ちくわ1パック
ちくわぶ1本1パック
さつま揚6枚1パック
揚ボール8個
魚河岸あげ®1パック
桜麩1本
うど8cm×2本
ふき1本
ほうれん草(葉)1束
小さじ2
(A)
 水 1500ml
 薄口しょうゆ 60ml
 酒 30ml
 昆布10×10cm
木の芽適量

作り方

  • 1:<材料の下ごしらえ>はんぺんは桜の型に抜く。焼ちくわ、ちくわぶ、桜麩は2cm幅に切る。うどは8cm長さに切り、皮をむいて縦半分に切って水にさらす。ほうれん草の葉を粗めに刻む。
  • 2:ほうれん草の葉と塩をすり鉢に入れ潰すようにつく。これをざるに入れ、ざるのままさっとゆでて冷水に取り、水けをきる。
  • 3:ふきは塩で板ずりし、色よくゆでて皮をむき8cm長さに切る。
  • 4:はんぺん、焼ちくわ、ちくわぶ、さつま揚、揚ボール、魚河岸あげ®、桜麩をざるに入れ、ざるのまま熱湯に入れて霜降りする。
  • 5:4とAを鍋に合わせて火にかけ、ひと煮立ちしたら昆布を取り出し、うどとふきを入れて弱火で2~3分間煮る。
  • 6:取り出した昆布を桜の型に抜き、ほうれん草の葉と一緒に鍋に散らす。
  • 7:器に盛り、木の芽を添える。
すり鉢にほうれん草を入れる

すり鉢にほうれん草を入れる(作り方2参照)。生のほうれん草に一つまみの塩を入れる事で、葉がつぶしやすくなります。

完成したほうれん草のすり流し

完成したほうれん草のすり流し(作り方2参照)。おでんの中に葉が適度に散りばめられるように、葉の状態が粗く残る程度が目安。

※板ずり:食材の下処理で、まな板のうえで、塩をふって手のひらで押さえながらこすりつけるように転がすこと。色鮮やかになり、表面のでこぼこを均一にならして味のなじみがよくなる。
ふきの場合は、アクが抜け、皮もむきやすくなる。

※霜降り:食材の下処理で、サッと熱湯に通すこと。表面のぬめりやくさみを取り除き、その後の加熱によりうまみが抜けるのを抑える目的で行う。

野﨑洋光さん野﨑流和料理のこころ

〜素材と練り製品、自由に組み合わせて味わい広がる〜
  • 壱、えぐみのある春野菜こそ、下ゆでを

    「春には、苦みのある野菜を食べよ」と言われているように、春になると、苦みのある春野菜やアクの強い山菜が芽吹くようになります。苦みの成分には、冬の寒さによって動きが鈍くなった身体を目覚めさせる効果があるとされています。早春の息吹特有の香りや歯ざわりを楽しむためにも、春野菜は必ず軽く下ゆでを。えぐみなどの雑味を取り除くことで、鮮やかな色合いと歯ざわりを、より一層楽しめます。

  • 弐、素材を知った上で、調理する

    冷蔵庫の中に何日か入れたままにした青菜は、葉がしなびたり、色合いが変わる事があります。新鮮な野菜は、できるだけ新鮮なうちに。手早く調理をするように、心がけましょう。また青菜の場合、鍋で茹でる前に一度青菜そのものを冷水につけておくようにしましょう。葉が水を吸って新鮮な状態に戻ります。
    素材は、鮮度が命。野菜に含まれるアクも滋味の一つですが、水分量が多く鮮度がよい野菜ほどアクも少ないので、短時間でサッと調理をする事ができます。

  • 参、高価な調味料よりも、しょうゆの特長を知ってから調理を

    素材のもつ色合いを楽しめるように、野崎流おでんのレシピでは、薄口しょうゆを使っています。薄口しょうゆと濃口しょうゆの違いは、旨味と香りだけではなく、塩分濃度も異なります。濃口しょうゆの塩分は14.5%、一方薄口しょうゆの塩分は16.0%です。濃口しょうゆを使うときは、仕上がりの色だけで味を決める事がないように注意しましょう。
    おでんを含めて、家庭料理の場合には高価な調味料は不要です。むしろ新鮮な素材があれば、少ない調味料で素材本来のおいしさを楽しむ事ができます。

    ※「五訂増補食品成分表」より算出