今月のおでんは、旬の筍や、わかめ、ふきなど、春らしい食材の旨味と香りを楽しむおでんです。
練り製品が入ることにより、これまでの若竹煮と異なり、さらに旨みが増し、味が引き出されます。また、今回のレシピでは、大根おろしの汁を使った野﨑流筍のアク抜きの方法をご紹介します。大根の酵素によって、アクを抜くことができ、これまでの「煮る」下処理方法とは異なります。下ごしらえを手軽に済ませて、筍の旨味と食感をおでんで味わってください。
筍は、鮮度が命。皮や切り口に、ハリがあるものを選びましょう。やわらかい穂先は、和え物や酢の物として。また中央部分は、刻んで炒め物や煮物に利用しましょう。
たけのこ(皮をむいたもの) | 200g |
笹かま | 1パック |
つみれ | 1パック |
揚ボール | 1パック |
わかめ(戻したもの) | 80g |
ふき | 2本 |
(A) | |
水 | 1000ml |
薄口しょうゆ | 50ml |
酒 | 20ml |
昆布 | 10×10cm |
(B) | |
大根おろしの汁 | 150ml |
水 | 150ml |
塩 | 3g |
※板ずり:きゅうりやふきなどの下処理方法。まな板の上に乗せて塩をふり、手のひらで押さえながらこすりつけるように転がすこと。色鮮やかになり、表面のでこぼこを均一にならして味のなじみがよくなる。ふきの場合は、アクが抜け、皮もむきやすくなる役割も。
※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。
筍の下処理と言えば、皮をつけたまま米ぬかと赤とうがらしを入れた鍋で、長い時間をかけてゆでるのが一般的です。ただ、これではゆでるのに時間がかかる上に、生のたけのこがもつ食感や香りが、失われてしまいます。そこで今回のレシピでは、生の大根おろしを使ったたけのこの下処理を紹介しています。大根おろしの汁に1時間ほどつけるというこの方法は、生のたけのこがもつ掘りたての食感を残しながら、大根の酵素によって、アクを抜く事ができる下処理方法です。
筍といえば水煮や真空パックなど、今は1年中食べる事ができる野菜になりました。けれども、旬の筍のもつ味わいを楽しめるのは、この季節だけ。だからこそ、この時、この時季を愛でることの感動を大切にして欲しいと思います。今回のレシピでは、家庭でできる筍の下処理方法をご紹介しています。冷蔵庫もある、電子レンジもある、何でも便利になり、食材も簡単に手に入る時代だからこそ、今しか食べられない旬の食材に挑戦して欲しい。そして、この恵まれた環境に感謝をしながら食べて欲しい。毎日の家庭料理から、こういう心を学べるようになるといいですね。
調味料を入れる順番に、昔から「さしすせそ」というものがあります。「さ」は、砂糖、「し」は塩という意味があるのですが、すべての料理においてこの順番通りに入れなければならないということはありません。むしろ、「さしすせそ」よりも重要なのは、調味料の分量です。食材の中まで調味料の味を染み込ませたものは、調味料の味をした料理。決して、素材の味を活かしたものとは言えません。食材にゆっくりと味を入れていきたいのなら、低い温度から少しずつ。外側は調味料の味でも、中心部は素材の味そのものを残したものにしましょう。