〜和食料理人 野﨑洋光から学ぶ〜 紀文のおでん暦

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4月のおでん「筍おでん」

4月のおでん「筍おでん」

今月のおでんは、旬の筍や、わかめ、ふきなど、春らしい食材の旨味と香りを楽しむおでんです。
練り製品が入ることにより、これまでの若竹煮と異なり、さらに旨みが増し、味が引き出されます。また、今回のレシピでは、大根おろしの汁を使った野﨑流筍のアク抜きの方法をご紹介します。大根の酵素によって、アクを抜くことができ、これまでの「煮る」下処理方法とは異なります。下ごしらえを手軽に済ませて、筍の旨味と食感をおでんで味わってください。

調理時間:20分 エネルギー/1人分:122kcal 塩分/1人分:3.0g

今月の旬の素材筍(たけのこ)

筍は、鮮度が命。皮や切り口に、ハリがあるものを選びましょう。やわらかい穂先は、和え物や酢の物として。また中央部分は、刻んで炒め物や煮物に利用しましょう。

筍(たけのこ)

材料(4人分)

たけのこ(皮をむいたもの)200g
笹かま1袋
つみれ1袋
揚げボール1袋
わかめ(戻したもの)80g
ふき2本
(A)
 水1000cc
 薄口しょうゆ50cc
 酒20cc
 昆布10×10cm
(B)
 大根おろしの汁150cc
 水150cc
 塩3g

作り方

  • 1:筍は、穂先は5cm長さほど、軸の部分は好みの大きさに切り、Bに1時間ほど浸してアクを抜く。
  • 2:ふきは板ずりしてから熱湯でゆで、水にとる。筋をとり、5cm長さに切りそろえる。
  • 3:鍋に湯を沸かし、筍を5分間ゆでる。笹かま、つみれ、揚ボールは霜降りする。
  • 4:鍋にAと3を入れ、中火にかける。沸騰直前に、2とわかめを入れ、弱火で1分ほど煮て、仕あげる。
下ごしらえ用の大根をおろす

下ごしらえ用の大根をおろす(材料Bで使用)。下ごしらえ用の大根おろしは、大根のどの部位でもよいです。

大根おろしの汁を作る

大根おろしの汁を作る(材料Bで使用)。おろした大根は、ガーゼや厚手のクッキングペーパーを使って絞りましょう。

※板ずり:きゅうりやふきなどの下処理方法。まな板の上に乗せて塩をふり、手のひらで押さえながらこすりつけるように転がすこと。色鮮やかになり、表面のでこぼこを均一にならして味のなじみがよくなる。ふきの場合は、アクが抜け、皮もむきやすくなる役割も。

※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。

野﨑洋光さん野﨑流和料理のこころ

〜旬の素材と練り製品があれば、それでいい〜
  • 壱、大根おろしを使った、野崎流たけのこの下処理

    たけのこの下処理と言えば、皮をつけたまま米ぬかと赤とうがらしを入れた鍋で、長い時間をかけてゆでるのが一般的です。ただ、これではゆでるのに時間がかかる上に、生のたけのこがもつ食感や香りが、失われてしまいます。そこで今回のレシピでは、生の大根おろしを使ったたけのこの下処理を紹介しています。大根おろしの汁に1時間ほどつけるというこの方法は、生のたけのこがもつ掘りたての食感を残しながら、大根の酵素によって、アクを抜く事ができる下処理方法です。

  • 弐、素材を知った上で、調理する

    たけのこといえば水煮や真空パックなど、今は1年中食べる事ができる野菜になりました。けれども、旬のたけのこもつ味わいを楽しめるのは、この季節だけ。だからこそ、この時、この時季を愛でることの感動を大切にして欲しいと思います。今回のレシピでは、家庭でできるたけのこの下処理方法をご紹介しています。冷蔵庫もある、電子レンジもある、何でも便利になり、食材も簡単に手に入る時代だからこそ、今しか食べられない旬の食材に挑戦して欲しい。そして、この恵まれた環境に感謝をしながら食べて欲しい。毎日の家庭料理から、こういう心を学べるようになるといいですね。

  • 参、「さしすせそ」のウソ

    調味料を入れる順番に、昔から「さしすせそ」というものがあります。「さ」は、砂糖、「し」は塩という意味があるのですが、すべての料理においてこの順番通りに入れなければならないということはありません。むしろ、「さしすせそ」よりも重要なのは、調味料の分量です。食材の中まで調味料の味を染み込ませたものは、調味料の味をした料理。決して、素材の味を活かしたものとは言えません。食材にゆっくりと味を入れていきたいのなら、低い温度から少しずつ。外側は調味料の味でも、中心部は素材の味そのものを残したものにしましょう。