〜和食料理人 野﨑洋光から学ぶ〜 紀文のおでん暦

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5月のおでん「かしわおでん」

5月のおでん「かしわおでん」

今月は緑茶をだし汁の代わりに使った、初夏の味わいのおでんを紹介します。
種ものには、端午の節句に食す“柏餅”にかけて、“かしわ(鶏肉)”を使いました。
また、新緑を連想させる旬のそら豆やスナップエンドウの緑茶の涼やかな色合いは、目にも鮮やかで、さわやかなこの季節にぴったりです。
食べる人を想う、遊び心やもてなしの心意気は大切に。

調理時間:20分 エネルギー/1人分:201kcal 塩分/1人分:2.6g

今月の旬の素材そら豆、スナップエンドウ

そら豆はさやから出すとすぐに固くなってしまうので、手早く調理しましょう。固めにゆでておくと、冷凍で保存することが出来ます。皮ごと焼くほか、炒り豆、スープなどで旬の味わいをお楽しみください。
スナップエンドウは歯ごたえのある食感が特長。さっとゆでて、さわやかな香りや豆本来の甘みも楽しみましょう。

そら豆、スナップエンドウ

※右が『そら豆』、左が『スナップエンドウ』

材料(4人分)

野菜てんぷら 4枚1パック
笹かま1パック
揚ボール1パック
鶏むね肉1枚
そら豆(さやから出したもの)200g
スナップエンドウ200g
1000ml
煎茶の茶葉10g
(A)
小さじ1
薄口しょうゆ小さじ1

作り方

  • 1:鍋に水を入れ、湯を沸かす。80度ぐらいの温度になったら火を止め、茶葉を入れる。1分間ほどおいてから茶葉をこし、Aを加えて冷ましておく。
  • 2:そら豆は皮をむく。スナップエンドウはすじを取る。鍋に湯を沸かし、それぞれ色が変わる程度にゆでる。
  • 3:鶏肉はひと口大に切る。野菜てんぷら、笹かま、揚ボール、鶏肉を霜降りする。
  • 4:鍋に1を入れた後、3を入れ、中火にかける。沸騰したら2を入れる。
茶葉を入れて緑茶を作る

茶葉を入れて緑茶を作る(作り方1参照)。茶葉を入れた後、煮出しすぎると緑茶の苦みが出ます。茶葉を入れて1分程度が目安。

煮出した後の緑茶

煮出した後の緑茶(作り方1参照)。季節やその日の温度によって緑茶の濃度を変えると、違った味わいが楽しめます。

※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。

野﨑洋光さん野﨑流和料理のこころ

〜茶葉から取り出すだしの旨さ香を保つ秘訣は温度にあり〜
  • 壱、緑茶のふくよかな風味と豆のあっさりとした味わいを生かした「かしわおでん」

    今回のレシピのポイントは、だし汁の代わりに煎茶を使用したことです。茶葉が持つ、さわやかで豊かな香りを引きだすために、煎茶を入れるときの湯は、80度程度にしましょう。そのほか、玉露、番茶、ほうじ茶など、茶葉によっておいしい入れ方や適したお湯の温度は異なります。さまざまなお茶でバリエーションをお楽しみください。
    緑茶にはビタミンC やビタミンEが含まれており、とくに、緑茶と近縁種特有の旨味成分であるテアニンと、練り製品の旨味が融合したおいしさが楽しめます。

  • 弐、鶏肉をふっくらさせる野﨑流の調理法とは?

    鶏肉を煮るときにふっくらしっとりとした食感に仕あげるためには、加熱時間と温度が重要です。
    まず、さっと霜降りし、余分な脂肪やアクを取り除きます。その後、85〜90度を保ちながら中火で20分間ほどゆっくりとゆでると、汁に鶏肉の旨味がしっかりと出て、肉自体もふっくらとした食感に仕あがります。

  • 参、料理を作るときには、遊び心やもてなしの心意気を大切に

    端午の節句に柏餅を食べる意味は、子どもの健やかな成長への願いを、新芽が出なければ古い葉が落ちない柏の木になぞらえていると言われています。
    今回のおでんでは、植物の柏にかけて、「かしわ」を具材にしました。古き良き日本の食文化を紐解きながら、清々しい組み合わせを楽しむ。食べる人を想う遊び心やもてなしの心意気は、いつまでも大切にしていきたいですね。