今月は緑茶をだし汁の代わりに使った、初夏の味わいのおでんを紹介します。
種ものには、端午の節句に食す“柏餅”にかけて、“かしわ(鶏肉)”を使いました。
また、新緑を連想させる旬のそら豆やスナップエンドウの緑茶の涼やかな色合いは、目にも鮮やかで、さわやかなこの季節にぴったりです。
食べる人を想う、遊び心やもてなしの心意気は大切に。
そら豆はさやから出すとすぐに固くなってしまうので、手早く調理しましょう。固めにゆでておくと、冷凍で保存することが出来ます。皮ごと焼くほか、炒り豆、スープなどで旬の味わいをお楽しみください。
スナップエンドウは歯ごたえのある食感が特長。さっとゆでて、さわやかな香りや豆本来の甘みも楽しみましょう。
野菜てんぷら 4枚 | 1パック |
笹かま | 1パック |
揚ボール | 1パック |
鶏むね肉 | 1枚 |
そら豆(さやから出したもの) | 200g |
スナップエンドウ | 200g |
水 | 1000ml |
煎茶の茶葉 | 10g |
(A) | |
塩 | 小さじ1 |
薄口しょうゆ | 小さじ1 |
※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。
今回のレシピのポイントは、だし汁の代わりに煎茶を使用したことです。茶葉が持つ、さわやかで豊かな香りを引きだすために、煎茶を入れるときの湯は、80度程度にしましょう。そのほか、玉露、番茶、ほうじ茶など、茶葉によっておいしい入れ方や適したお湯の温度は異なります。さまざまなお茶でバリエーションをお楽しみください。
緑茶にはビタミンC やビタミンEが含まれており、とくに、緑茶と近縁種特有の旨味成分であるテアニンと、練り製品の旨味が融合したおいしさが楽しめます。
鶏肉を煮るときにふっくらしっとりとした食感に仕あげるためには、加熱時間と温度が重要です。
まず、さっと霜降りし、余分な脂肪やアクを取り除きます。その後、85〜90度を保ちながら中火で20分間ほどゆっくりとゆでると、汁に鶏肉の旨味がしっかりと出て、肉自体もふっくらとした食感に仕あがります。
端午の節句に柏餅を食べる意味は、子どもの健やかな成長への願いを、新芽が出なければ古い葉が落ちない柏の木になぞらえていると言われています。
今回のおでんでは、植物の柏にかけて、「かしわ」を具材にしました。古き良き日本の食文化を紐解きながら、清々しい組み合わせを楽しむ。食べる人を想う遊び心やもてなしの心意気は、いつまでも大切にしていきたいですね。