〜和食料理人 野﨑洋光から学ぶ〜 紀文のおでん暦

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8月のおでん「葉月冷やおでん」

8月のおでん「葉月冷やおでん」

今月の「冷やおでん」は、おでんの原型である田楽をイメージして、種ものを串に刺し、ほどよく冷やしました。“目に涼しく、喉に涼しく”は、夏料理・夏肴の重要な要素です。
また、この串おでんにおすすめの種ものは「たこ」です。夏に食すたこには、作物が大地に根づき、たこの足のように大地に根を広げてほしいという先人の願いが込められていました。
冷やおでんとお好きなお酒をかたむけて、過ぎゆく夏の余韻を楽しんでください。

調理時間:20分 エネルギー/1人分:355kcal 塩分/1人分:4.3g

今月の旬の素材オクラ

軽く塩でもみ、表面のうぶ毛を取り除いてからゆでるようにしましょう。ヘタの部分を面取りした後に十字の切り込みを入れておくと、早く火が通ります。
ゆでたものを刻んで、薬味などにするのもおすすめです。うぶ毛が全体に均一に生えていてピンとハリのある、新鮮なものを選びましょう。

オクラ

材料(4人分)

焼ちくわ1パック
野菜てんぷら1パック(4枚)
たこ(足の部分)4本
4個
しいたけ4個
オクラ8本
(A)
 水1000cc
 薄口しょうゆ50cc
 酒20cc
 昆布10×10cm

作り方

  • 1:卵は室温に戻し、殻に5ヶ所程度、針で穴をあける。沸騰したお湯で約6分間ゆでた後、冷水につけ、殻をむく。
  • 2:オクラはヘタの部分を面取りし、軽く塩でもみ、沸騰したお湯でさっとゆでておく。
  • 3:焼ちくわ、野菜てんぷら、しいたけは、それぞれ霜降りする。
  • 4:鍋にAを入れ、1と3、たこを入れる。中火にかけ、沸騰したら2を入れて、冷ます。
  • 5:あら熱がとれたら、焼ちくわ、野菜てんぷらをひと口大に切り、ゆで卵とオクラ以外を串に刺す。冷蔵庫で冷やしていただく。
半熟卵を作るために卵に穴をあける

半熟卵を作るために卵に穴をあける(作り方1参照)。室温に戻した卵の殻のとがっていない方に針や画びょうで、5、6ヶ所の穴をあけます。

穴をあけた後の卵

穴をあけた後の卵(作り方1参照)。針や画びょうで穴をあける時はゆっくりと殻を割らないように。使用後の画びょうはすぐに片付けます。

※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。

野﨑洋光さん野﨑流和料理のこころ

〜不易流行。先人たちの知恵を、時代に合わせた「食」へ〜
  • 壱、今月のおでんは原点に返った田楽風、冷たく仕立てて暑気払いに

    おでんのはじまりは、串に刺した豆腐に味噌をつけて焼いた豆腐田楽と言われています。時代とともに、練り製品とほかの具材を一緒に煮込む形へ変わり、現在のスタイルになりました。 今回のおでんは、おでんの原点である田楽をイメージして考案し、手に取りやすいように具材を1本1本串に刺しました。この時期はお盆休みなどで人が集まる機会も多いと思います。暑い夏の日には冷やした串おでんを囲みながら、おでんの原点に想いをはせてみてはいかがでしょうか。

  • 弐、おでんは先人達の知恵の宝庫、次世代に伝えていきたい日本の食文化のひとつ

    食材の旨味をシンプルに味わうことができるおでん。不易流行という言葉もあるように、食本来が持つ伝統や込められた想いは変えずに、時代の変化に対応し、次世代へ日本の食文化を伝えていくことは、現代に生きる私たちの役目です。おでんという食文化も、練り製品を使うという基本形は変えずに、旬の食材を取り入れるなど上手に変化させ、楽しみながら伝え継いでいきたいものです。

  • 参、無限に広がる可能性、自由な発想でおでんを楽しんで

    旬の食材と練り製品を組み合わせ、旨味を生かすことにより、おでんの表情は無限に広がります。季節を愛でる心と旬の食材を慈しむ心を大切にしながら、さまざまなおでんをご家庭でお楽しみください。そして、先人達から脈々と受け継がれた食文化の歴史も併せて楽しみましょう。