今月の「冷やおでん」は、おでんの原型である田楽をイメージして、種ものを串に刺し、ほどよく冷やしました。“目に涼しく、喉に涼しく”は、夏料理・夏肴の重要な要素です。
また、この串おでんにおすすめの種ものは「たこ」です。夏に食すたこには、作物が大地に根づき、たこの足のように大地に根を広げてほしいという先人の願いが込められていました。
冷やおでんとお好きなお酒をかたむけて、過ぎゆく夏の余韻を楽しんでください。
軽く塩でもみ、表面のうぶ毛を取り除いてからゆでるようにしましょう。ヘタの部分を面取りした後に十字の切り込みを入れておくと、早く火が通ります。
ゆでたものを刻んで、薬味などにするのもおすすめです。うぶ毛が全体に均一に生えていてピンとハリのある、新鮮なものを選びましょう。
焼ちくわ | 1パック |
野菜てんぷら | 1パック(4枚) |
たこ(足の部分) | 4本 |
卵 | 4個 |
しいたけ | 4個 |
オクラ | 8本 |
(A) | |
水 | 1000cc |
薄口しょうゆ | 50cc |
酒 | 20cc |
昆布 | 10×10cm |
※霜降り:魚介類や肉などの下処理方法。表面が白くなる程度に熱湯に通したり、かけることにより、素材のくさみやぬめりを取り除くことができます。
おでんのはじまりは、串に刺した豆腐に味噌をつけて焼いた豆腐田楽と言われています。時代とともに、練り製品とほかの具材を一緒に煮込む形へ変わり、現在のスタイルになりました。 今回のおでんは、おでんの原点である田楽をイメージして考案し、手に取りやすいように具材を1本1本串に刺しました。この時期はお盆休みなどで人が集まる機会も多いと思います。暑い夏の日には冷やした串おでんを囲みながら、おでんの原点に想いをはせてみてはいかがでしょうか。
食材の旨味をシンプルに味わうことができるおでん。不易流行という言葉もあるように、食本来が持つ伝統や込められた想いは変えずに、時代の変化に対応し、次世代へ日本の食文化を伝えていくことは、現代に生きる私たちの役目です。おでんという食文化も、練り製品を使うという基本形は変えずに、旬の食材を取り入れるなど上手に変化させ、楽しみながら伝え継いでいきたいものです。
旬の食材と練り製品を組み合わせ、旨味を生かすことにより、おでんの表情は無限に広がります。季節を愛でる心と旬の食材を慈しむ心を大切にしながら、さまざまなおでんをご家庭でお楽しみください。そして、先人達から脈々と受け継がれた食文化の歴史も併せて楽しみましょう。