だしの食材といえば、かつお節や昆布が一般的ですが、それだけではありません。そして、だしをとった後のかつお節などは処分してしまう方も多いはず。
「だしも頬張るおでん企画」は、肉類・魚介類・野菜からだしをとって、“だしを食材ごと食べましょう”というもので、だしとなる食材、練りもの、野菜と他1品の計4品で主役のおかずに仕立てます。
さて、vol.7のだしの食材は、「鶏」。料理家・渡辺あきこさんによる鶏だしおでんと、江戸のトーク担当の畠山健二さんは食と漢字の妙を自在に操る、時代小説家ならではの洒脱な一篇を紹介します。
おでん屋では、かつお節や昆布のだしに隠し味として鶏ガラを加え、コクを出す店が意外と多くあります。また、鶏だしや鶏肉を前面に押し出し、白濁したおでん汁を特徴とする店も見られ、複数の鶏の部位を組み合わせるところもあります。家庭では鶏ブツを使うと手軽にだしがとれると、渡辺あきこさんは勧めています。
今月の頬張るだし:鶏
畠山健二 江戸期の鶏の話(イラスト:ふくだのぞみ)
日本語は難しい。「鳥」は鳥全体を意味し「鶏」はニワトリを意味する。「ヤキトリ」はニワトリを使用していると思うのだが「焼き鳥」と書く。「焼き鶏」が正しいはずだろ。酉年の人が食べるヤキトリは酉肉といいます。って嘘ですよ。
江戸時代の鶏料理といえば、鬼平犯科帳でお馴染みの軍鶏鍋だろう。ドラマでの軍鶏鍋は色が濃く、味も濃そうに見える。やはり酒が進むからかですかね、池波先生。
おでんと鶏という組み合わせは合点がいく。鶏ラーメンのイメージがあるからかなあ。澄んだスープなのにしっかりとした味。抜群のだしは、ぶつ切にした鶏の骨からの贈り物だ。トロトロになった鶏肉を食べ終えたら、骨をしゃぶりたい。そうだ。ラーメンを入れるのもいいなあ。さっそくやってみよう。楽しみだ。 この連載が「オデンガク」ではなく「寄せ鍋」だったら「鶏」は最終回になったはず。寄席だけにトリは最後って。おあとがよろしいようで……。

おでん種としての鶏

家庭でのおでんの採用率は圧倒的に西日本が高い。「手羽先」のほか、「手羽元」を入れる家庭もある。関西おでんの定番であるクジラのコロなどは値段が高騰し入手が難しくなったため、牛すじに加えて鶏肉を用いるようになったという主婦の声も、フィールドワークの取材で寄せられた。
今月の4つの材料
鶏肉、玉子、ちくわ、かいわれ菜

鶏だしおでん

材料(2人分)
作り方
- 鶏水炊き用(ぶつ切り):300g
- 酒:大さじ1
- 竹笛:4本
- 卵:2個
- かいわれ菜:2パック
- 塩:少々
- 鍋に湯を煮立て鶏肉を2〜3切れずつさっとゆでて水に取る。(霜降り)竹笛は半分に切る。
- 卵は半熟にゆでて(水からゆでて沸騰後7分茹でる)水にとって冷めたら殻をむく。
- あらたに水5カップ、酒大さじ1、塩小さじ1/2、鶏肉を入れて中火にかけ、煮たったら弱火にしフタをして1時間煮る。
竹笛とゆで卵を加えて弱火で10分煮る。塩少々で味をととのえる。 - 貝割れ菜は根元を切って煮汁でさっと煮て取り出す。
- 器に鶏肉、竹笛、貝割れ菜、卵を盛り付け、汁をはる。
- お好みでガーリックトーストを汁に浸して食べても美味。
<ガーリックトースト>
バケットの薄切りの片面にニンニクの切り口をこすりつけ、
バターをぬる。オーブントースターで焼き色がつくまで焼く。
鶏だしおでんのアレンジレシピ
<スープ水餃子>
おでん汁で市販の餃子をさっと煮して、ネギをちらせば鶏の滋味深い中華風一品に。

プロフィール
レシピ担当:渡辺あきこ(わたなべあきこ)
プロフィール
江戸の話担当:畠山健二(はたけやまけんじ)
プロフィール
イラスト担当:ふくだのぞみ
