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~おでんデータから読解く日本 Ver.4~


あるある学1回目から3回目では、牛すじの種類や全国分布の他、牛すじとかまぼこ、鶏肉とクジラの2つの不思議な関係などをお話してきました。

4回目は、引き続きの肉シリーズ。今冬、外食おでんで話題沸騰中の「鶏肉」について、ここでは主に「家庭のおでんにおける鶏肉の利用」にスポットを当てて話をしようと思います。


おでんに鶏肉を入れる時は


以下は松江風おでんを再現したもので、赤丸で囲んだものは鶏肉です。


松江おでん

家庭で鶏肉をおでんに入れる場合には、いろいろな下ごしらえがありますが、ここでは2つ紹介します。

そのまま(写真左:手羽先)使う場合と、鶏肉を団子状(写真右:別名つくね)にするやり方で、おいしい出汁のもとにもなります。

この他、巾着袋の中にひき肉を入れる、焼き鳥にしてから入れるといった下ごしらえの方法などもあります。


手羽、つくね

※写真は、しょうゆベースの汁で調理した後の画像です。


「手羽先(写真左)」:手羽元ではなく手羽先・手羽中も家庭では扱いやすい種ものです。

「つくね(写真右)」:細かくミンチした鶏肉につなぎの卵などを加えて、粘りが出るまで混ぜ合わせ団子状に丸めたもの。少々手間になるが、鶏なんこつを細かく砕いて入れても美味。

この他、今冬、話題沸騰中の鶏だしのおでん専門店では、セセリ、モモ、ムネ、ナンコツ、スナギモ、ボンジリなどの部位を食すことができます。


おでん屋が舞台の小説『婚活食堂』の隠し味は鶏ガラ、そして限定メニュー


「食堂のおばちゃん」の愛称で知られる作家の山口恵以子さんが手がける、23年11月現在でシリーズ累計34万部の『婚活食堂』。

舞台のおでん屋「めぐみ食堂」では、昆布とカツオの合わせ出汁に鶏ガラスープを入れるWスープ。

女将の恵が「出汁を取った後の鶏ガラは、おでんの汁で煮てお客さまにお出ししているの。最初は賄いだったんだけど、いつの間にかリクエストするお客さまが増えてね。1日2個限定だから、スペシャルって呼んでいるのよ。」という説明をするシーンがあります。

リアル店舗があったらぜひ行って鶏ガラを発注したいものです。

山口恵以子さんに、ご家庭でめぐみ食堂の味を再現するには?と尋ねたところ、「手羽先と顆粒の鶏ガラスープを入れればおいしく出来ますよ。」とお答えいただきました。


鶏肉塩味おでんは、料理研究家枝元なほみさんもおすすめ


料理研究家の枝元なほみさんのおでんのおすすめメニューは「塩と鶏の出汁おでん」。塩味の澄んだ汁のおでんを食べて、目からウロコだったそう。

その粋な味に近づきたくて、試行錯誤をくり返し、結果、鶏がらスープを取り、塩で味つけをすることにいきついたそう。種ものにはスペアリブ(手羽中)がおすすめとのこと。

家庭で簡単に作ることができる枝元さんの「鶏スペアリブと昆布の出汁おでん」はこちら
https://www.kibun.co.jp/recipes/22203/index.html


家庭のおでん 鶏肉は西高東低


以下は「家庭のおでんの都道府県別種もの調査」での鶏肉の分布図です。

1位から15位まで、大分県、鳥取県、岡山県、山口県、鹿児島県、佐賀県、熊本県、京都府、沖縄県、広島県、滋賀県、福岡県、和歌山県、島根県、大阪府まで西日本の県が占めます。(調査概要はページの一番下に記載)


鶏肉ランキング

家庭のおでん 鶏団子は東西の偏りはない


以下は「家庭のおでんの都道府県別種もの調査」での鶏団子の分布図です。

1位から20位は、沖縄県、東京都、富山県、熊本県、佐賀県、鳥取県、静岡県、京都府、新潟県、山梨県、岩手県、滋賀県、長野県、高知県、鹿児島県、山口県、群馬県、愛知県、広島県、北海道となりました。

東日本、西日本ともに10県ずつランクインしており、東西の偏りはなく全国的に散らばります。


鶏団子ランキング

鶏団子と鍋料理とおでん


もう15年近く前になりますが、料理研究家の渡辺あきこさんに、「鍋調理と鶏団子の関係」について取材したことがあります。

渡辺さんからは、「鍋料理にヘルシーで子供が好きな鶏団子を入れることが料理雑誌やテレビの料理番組でたくさん報道されて、全国的に流行った時期があった。平成になってすぐの頃だと思います。」と説明いただきました。

その説明を聞いて、昭和期と比べスーパーで購入できる鶏団子が増えたのもその頃ですし、バブルが弾け、鶏団子が比較的安価なので、全国的に一気に広まったんだろうと得心した記憶があります。

おでんに入れる鶏団子の分布も同様に、このマスコミでの報道などを受け、一定の地域に偏らず、全国均一に分布しているのだろうと推測されます。

次回、5回目は、引き続き、「西日本のおでんと畜肉の種ものの関係(豚肉)」の予定です。


《調査概要》
<紀文・47都道府県 家庭の鍋料理調査2023>
■調査日程:2023年7月28日〜8月4日
■調査手法:インターネットによる回答
■調査対象:20代〜50代以上の既婚女性4,700人
■各都道府県100人(各20代25人、30代25人、40代25人、50代以上25人)
■調査機関:株式会社マーケティングアプリケーションズおよび株式会社紀文食品
※おでん種の地域分布図(日本地図)は、上記調査の回答者の内、『昨年の秋冬(2022年9月から2023年2月の間)に、「おでん」をご家庭で作って1回以上食べた方』:1,993人の集計値です。


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