「フレンチレストラン ラペ」のオーナーシェフでおでん屋「平ちゃん」のオーナー「松本一平氏」と、平ちゃんのシェフ「根内大和氏」師弟関係にあるふたりは、おでんを世界で和食のメジャー料理にするため、おでんに新しい風を吹き込む。
「おでん」を世界に通用する「ODEN」へ
和の心とフレンチの技が織り成す、
イノベーティブODEN専門店「平ちゃん」
東京の中心に位置する日本橋は、新旧が交差する文化の融合地として知られています。その一角にひっそりと佇むのが、ミシュランで星を獲得した実績を持つ、フレンチレストラン「ラペ」が手掛けるイノベーティブODEN専門店「平ちゃん」です。日本の伝統的な鍋料理である「おでん」とフレンチとの出会い。フレンチならではの繊細な技法が生かされた、ここにしかない美しいおでんが提供されています。
独創性を追求したコースODEN
「平ちゃん」のコンセプトは、和のテイストとフレンチのエッセンスの融合です。食事に流れを作りたい、という思いから、メニューはコースのみ。前菜ではじまり、最後は土鍋ご飯とデザートで締める、ODENのコースを堪能できます。見た目も一般的なおでんとは違い、一種類ごとに小鉢で出されるメニューを食べ進めれば、素材によって変化する出汁の味に驚かされるはずです。
前菜は、おでんの出汁のジュレと太刀魚とウド、根セロリを一緒に。おでんの主役である大根は、フランス語で“特別な料理”を意味するスペシャリテとして、「おでん春巻き」の形で提供されます。出汁の味も大根そのものの味も感じられる1口目、カナダのホッキ貝とべシャルメソースを使用した2口目、箸を進めるごとに新しい味との出会いが待っている、新感覚おでんです。
定番の盛り合わせは、黒米を練り込んだ奈良のこんにゃく、自家製のがんもどきは新ごぼうとレンコンが入り、ひとつひとつに凝った味付けが丁寧に施されていて、おでんとはこんなにも繊細で上品な料理だったのかと思わせます。
和食店では通常、コースの最後にフルーツや羊羹などが出されます。しかし「平ちゃん」は、デザートの常識も覆します。フレンチの良さを存分に楽しめるパフェや、そば茶のブラマンジェなど、2種類のオリジナルデザートが楽しめます。
ドリンクには、シャンパンやワイン、日本酒など料理に合わせたペアリングを用意。お酒が飲めない人でも、梅と甘酒を合わせたり、ハイビスカスを使用したりした、カクテル風のノンアルコールドリンクを嗜めます。
これまでの概念を覆す“煮込まないおでん”
日本橋「平ちゃん」で私たちを待っているのは、ただのおでんではありません。昭和から平成、そして令和へと時代を超えて、おでんがさまざまに変化し続ける中、フレンチの技法を取り入れた、前菜からフルコースで楽しむ「劇場型おでん」が誕生しました。
「平ちゃん」の魅力は、コース仕立てだけに留まりません。多くのおでん店が取り入れている、種ものをぐつぐつ煮込む工程はなく、”煮込まないおでん”という新しい提案で、革新的な驚きを届け続けています。
大根などの浸透圧を利用して、味をじっくり染みこませたおでん種。一口食べれば、素材の良さや出汁の旨味を存分に感じられる、新しい世界が待っています。煮込めば煮込むほど美味しい、そんな概念を覆す「平ちゃん」のおでん。
口に入れれば、和食とフレンチが織りなす、まったく新しい食文化の世界が広がります。「自由な発想でおでんの美味しさ、素晴らしさを伝えていきたい」自信に満ちた表情で、シェフが語る裏側には、すべての料理の主役である、自慢の出汁の存在があります。
素材を活かした煮込まないおでんが主流になる、そんな未来も近いかもしれません。伝統的な日本の味を大切にしながら、繊細は味とバランスにこだわり、豊かな想像で進化を遂げた「平ちゃん」の味を、ぜひご堪能ください。
SDGsへの積極的な取り組み
「平ちゃん」はサステナブルな素材選び、フードロス削減にこだわっています。海の豊かさを守るため、持続可能な漁業であることを示す認証を受けた魚を選びます。端などの部分も、素材を無駄にしないように、練りものに加工して使い切る。そんな、おでんを通じて実現できる、サステナブルな取り組みに挑戦し続けています。
出汁を取るために使ったかつお節や昆布はふりかけにして、お客さまのお土産として提供されます。その他にも、さまざまな加工方法を持つ、フレンチの技法を生かしたフードロス対策が、随所に取り入れられています。
おでんに使用するウドなどの山菜を、シェフ自らスタッフとともに上越妙高まで取りに行ったり、トマト農家さんのもとで収穫したり、料理人へ素材の価値を伝える活動もしています。おでんからはじめるサステナブルな取り組み、フードロス対策で食を大切にする「平ちゃん」のメニューは、すべての素材へ敬意が込められています。
日本の出汁文化を海外へ発信
「平ちゃん」では、かつお節と昆布で出汁を引き、醤油とみりんで味付けをしています。「おでんの主役は出汁」「出汁こそがおでん」というこだわりが込められた、透き通ったクリアな出汁が特徴です。
出汁の取り方や、おでんやその他メニューの作り方にも、フレンチの技術が生かされています。ていねいに取った出汁で牛すじを煮る場合、脂の多いそのままの出汁ではしつこくなります。そのため炊いた後の牛すじは、クリアな出汁で割って出されます。牛すじを炊いた出汁も、もちろん無駄にしません。コンソメにしてうどんと合わせるなど、フレンチならではのテクニックで、余すことなく使われます。
自慢の土鍋ご飯も、おでんの出汁で炊き上げます。一杯目はそのまま、二杯目はおでんの出汁でお茶漬けにしていただく、「平ちゃん」らしいメニューです。おでんの出汁には何が合うか、柔軟に発想を膨らませて、考えられたメニューは、和食のきれいさを感じられると外国人にも好評です。
シェフが惚れ込む出汁の味。そこから広がる季節感や素材感が伝わるおでん種は、旬が伝わるメニュー、素材をきちんと感じられる調理、盛り付けにこだわっています。日本だけでなく、海外へ出汁の美味しさを発信する拠点として、ワンランク上のODENを提案しています。
ずっとそこにいたくなる空間デザイン
「平ちゃん」の店内は、落ち着いたバーのような雰囲気の空間です。おでんにスポットをあてる照明、木の温もりを存分に感じられるインテリアで、心地よい時間を過ごせます。カウンター席に座れば、ライブ感あふれるオープンキッチンがすぐ目の前に。フレンチシェフの手仕事を、間近で見ながら、創作おでんを味わえます。プライベートなひとときを楽しめる、半個室を含むテーブル席も用意されています。大切な人と過ごす特別な日、「平ちゃん」でしか味わえない、コースおでんを召し上がってみてはいかがでしょうか?
出汁:かつお節 昆布
味付け:醤油 みりん
平ちゃんメニュー5選(取材した年の4月):
「太刀魚 ウド 根セロリ」
「平ちゃんのスペシャリテおでん春巻き」
「おでんの盛り合わせ」
「真鯛の磯辺揚の土鍋ご飯」
「ラペスペシャリテ桜とイチゴの春爛漫パフェ」
※取材時、及び季節によって提供する種ものが違います。
お店の基本情報 | |
---|---|
店名 | 平ちゃん |
住所 | 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-12-10 B1F |
TEL | 050-3623-1723 |
Webサイト | https://heichan.jp/ |
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